【失敗しない】ホームページリニューアルの進め方ガイド

ホームページのリニューアルで、失敗をしたくないと考えている担当者の方は多いでしょう。 「どうやって情報収集し、制作会社を選べばよいか」 「何を、どのような順で検討すれば、自社に合うパートナーを見つけられるか」 このような、リニューアルの進め方そのものに悩んでいませんか。
ホームページリニューアルの成果は、制作会社選びに至るまでの「準備」と「手順」に大きく左右されます。 適切なプロセスを踏むことで、自社に最も合った制作会社を見極められ、リニューアルによる成果の確度を高められます。
本記事では、Web担当者が知っておくべき準備や手順を、7つのステップで具体的に解説します。
本記事で解説する7つのステップ
ステップ1:課題と目的、体制を明確にする
ステップ2:候補となる制作会社探しと、ヒアリング準備
ステップ3:提案依頼書(RFP)を準備する
ステップ4:各社の提案を比較する
ステップ5:見積もり比較と費用対効果の判断
ステップ6:決裁者への説明と承認
ステップ7:パートナーを選定し、契約する
目次
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【失敗しない】ホームページリニューアル実践ガイド
ステップ1:課題と目的、体制を明確にする
ホームページリニューアルの成果は、この最初の「社内準備」で大きく左右されます。ここでの準備が、ステップ2以降の制作会社選定やサイト制作全体の質を決定づける土台となります。目的が曖昧なままだと、リニューアルの方向性が定まらず、「デザインを変えただけ」という結果に陥りがちです。
担当者がやること
1. リニューアルの目的と課題を整理する
まず「何のためにホームページをリニューアルするのか」という目的(ゴール)を具体的にします。リニューアルの背景にある事業上の課題と、それを解決するための具体的な目的をセットで整理しましょう。
- 課題の例:Webからの問い合わせが月に1件しかなく、新規顧客の開拓が営業担当者のマンパワーに依存している。
- 目的の例:Webサイトを営業ツールとして機能させ、BtoBのリード(見込み客)を月間10件獲得できるようにする。
この目的が、今後制作会社を選んだり、サイトの仕様を決めたりする際の最も重要な判断基準になります。
2. 担当者と予算を決める
次に、プロジェクトを円滑に進めるための体制と予算を決めます。
社内の関係部署との調整や、制作会社との窓口となる担当者を明確にしましょう。担当者が決まっていないと、意思決定が遅れ、プロジェクトが停滞する原因になります。
また、「100万円まで」「100〜300万円の範囲」といった大枠の予算感を把握しておきます。予算を伝えることで、制作会社は現実的な提案をしやすくなります。なお、詳細な見積もりの比較検討は後のステップで行いますので、この段階では大まかな金額で問題ありません。
3. Webサイトの現状を把握する
現状を客観的な数値で把握します。ただし、詳細すぎるアクセス解析に時間をかける必要はありません。専門家以外の方がデータを見ても、どの指標が重要かを見分けるのは困難なためです。
制作会社との初回打ち合わせに向けて、まずは以下の2点を確認しておけば十分です。
- Webサイトの月間(または年間)アクセス数
- 事業に繋がった有効な問い合わせの月間(または年間)件数
これらの基本的な情報があれば、制作会社との最初の対話はスムーズに進みます。詳細な競合分析や市場調査は、後のステップで制作会社と共に行うことになります。
このステップのチェックリスト
内容 | 例 | |
□ | リニューアルの目的(ゴール)と、その背景にある課題を整理した | 目的:月間10件のリード獲得 課題:営業のマンパワー不足 |
□ | 担当者を決め、おおよその予算感を把握した | 担当者:〇〇部 〇〇 予算:100〜300万円 |
□ | Webサイトの「月間アクセス数」と「有効な問い合わせ件数」を確認した | アクセス:月間3,000 問い合わせ:月間1件 |
ステップ2:候補となる制作会社探しと、ヒアリング準備
ステップ1で社内の土台が固まったら、いよいよ外部のパートナー探しに移ります。ここでの目的は、自社の課題を解決してくれそうな会社をリストアップし、その中から2〜3社に絞り込み、初回の打ち合わせ(ヒアリング)を設定することです。
担当者がやること
1. 候補となる制作会社をリストアップする
まず、検索サイトで以下のようなキーワードを組み合わせて、候補となる制作会社を探します。自社の状況に合わせて、複数のキーワードで検索してみましょう。
- 業種で探す場合の例:「製造業 ホームページ制作」「BtoBメーカー サイトリニューアル」
- 目的で探す場合の例:「リード獲得 Webサイト」「採用強化 サイト制作」「海外展開 ホームページ」
その上で、各社のWebサイトで以下の点を確認し、相談したい会社をリストアップしましょう。
- 実績紹介:自社と同じ業界や、似たビジネスモデルの支援実績があるか。どのような課題をどう解決し、どんな成果が出たのかまで触れているかを確認します。
- 専門分野:自社の目的(例:BtoBのリード獲得)と、制作会社の強みが合っているか。「BtoBマーケティングに強い」「採用サイトの実績が豊富」など、自社の目的に合致する会社を選びましょう。
- 制作規模・料金感:制作会社のサイトに「料金」や「プラン」のページがあれば、おおよその制作規模を確認します。例えば、自社の予算が100万円なのに、最低でも500万円からという会社に問い合わせるのは、ミスマッチが起こる可能性が高いです。事前に規模感を確認することで、問い合わせのハードルを下げ、効率的に候補を絞れます。
- 情報発信:ブログなどで専門的な情報を発信しているか。会社の知識レベルや、顧客に有益な情報を提供しようとする姿勢を判断する材料になります。
2. 問い合わせと日程調整を行う
相談したい会社が決まったら、Webサイトの問い合わせフォームなどから連絡を取り、初回の打ち合わせ日程を調整します。この段階では、詳細をすべて伝える必要はありません。目的はあくまで「初回の打ち合わせ日程を調整すること」です。
問い合わせフォームには、以下の内容を簡潔に記載しましょう。
- 会社名・担当者名・連絡先
- 問い合わせ内容:「ホームページリニューアルの件でご相談」など、用件が分かれば十分です。
- 現状の概要:次の項目で準備する「リニューアルの概要」から、特にリニューアルの目的と予算感を抜粋して記載しておくと、相手も準備がしやすくなります。(例:「Webサイトからのリード獲得を目的としており、予算は〇〇円程度を想定しています」)
詳細な背景や課題は、初回のヒアリングで直接説明します。この際、メールの返信速度や文面の丁寧さも、その会社のコミュニケーション姿勢を測る一つの指標になります。例えば、問い合わせ後すぐに担当者名で丁寧な返信が来る会社と、数日経ってから定型文のような返信しかない会社とでは、今後のやり取りの進めやすさに差が出ると考えられます。
3. 初回ヒアリングで伝える内容をまとめる
打ち合わせに備え、ステップ1で整理した内容を要点としてまとめておきます。口頭で伝えるだけでなく、簡単な資料にまとめておくと、認識のズレがなくなり、話がスムーズに進みます。
例えば、以下のような項目を盛り込んだ資料を準備しましょう。
ホームページリニューアルの概要(サンプル資料)
- 1. 当社について
- 事業内容:〇〇業界向けの精密部品の製造・販売
- 主要顧客:国内の〇〇メーカー
- 2. 現状の課題と数値
- 課題:営業担当者のマンパワーに依存しており、新規顧客の開拓が思うように進んでいない。
- 数値:Webサイトの月間アクセス数 約3,000 / Web経由の有効な問い合わせ 月間1件
- 3. リニューアルの目的
- 目的:Webサイトを営業ツールとして機能させ、月間10件のリード(見込み客)を獲得したい。
- 4. 担当者・予算
- 担当部署・氏名:〇〇部 〇〇
- 予算感:100〜300万円
- 5. 希望公開時期
- 〇〇年〇月頃を希望
このように情報を整理しておくことで、制作会社に自社の状況を正確に伝えられます。また、この打ち合わせは、相手のヒアリング能力や課題解決への姿勢を見極める場でもあります。
このステップのチェックリスト
内容 | 例 | |
□ | 制作会社サイトで実績・専門分野・料金感などを確認し、候補を2〜3社リストアップした | A社(同業界の実績あり) B社(BtoBマーケティングに強み) |
□ | 問い合わせ時に目的や予算感を伝え、初回打ち合わせの日程を調整した | 問い合わせフォームに「リード獲得目的、予算〇〇円」と記載した |
□ | 初回ヒアリングで伝えるべき概要資料を準備した | リニューアルの目的や課題、希望公開時期などを記載した資料を準備した |
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【失敗しない】ホームページリニューアル実践ガイド
アイリーラボからのワンポイント解説
私たちは初回のヒアリングで、お客様の製品や技術についてだけでなく、「顧客が他社ではなく御社を選ぶ理由は?」「現在の顧客を獲得してきた手段は?」といった、ビジネスの根幹に関わる質問をします。お客様のビジネスを深く理解することが、成果の出るWebサイト制作の第一歩だと考えているためです。
ステップ3:提案依頼書(RFP)を準備する
このステップの目的は、各社に同じ条件で提案してもらい、公平に比較するための土台を作ることです。そのために準備するのがRFP(提案依頼書)です。
RFPとは「Request for Proposal」の略で、リニューアルの背景や目的、要望などをまとめた資料を指します。RFPを各社に渡すことで、それぞれが同じ情報をもとに提案を考えてくれるようになり、比較検討がしやすくなります。RFPがないと、各社が異なる解釈で提案するため、公平な比較が難しくなってしまいます。
担当者がやること
1. RFPに盛り込む内容をまとめる
ステップ1と2で整理した情報を、RFPとして資料にまとめます。完璧な書類である必要はなく、箇条書きでも構いません。以下の項目を盛り込みましょう。
- 目的:例)Webサイトからのリード獲得数を月20件にする
- 課題:例)デザインが古くスマートフォンで見づらい、問い合わせがない
- ターゲットユーザー:例)製造業・設計担当や生産技術。実際に取引のあるお客様の中から、代表的な一社を思い浮かべると、人物像が具体的になり分かりやすいです。
- 機能:例)ブログ機能、実績紹介、資料ダウンロード機能
- 予算:例)300万円
- 希望公開時期:例)来年3月頃
良い提案を引き出すためのポイント
ここで重要なのは、RFPで要件を固めすぎないことです。
例えば、「このCMSを使ってほしい」「KPIはこれで達成してほしい」「プロジェクトチームはこの人選で」のように細かく指定しすぎると、制作会社は指示通りの見積もりを出すだけになってしまいます。
これでは、制作会社の専門知識や経験に基づいた、より良いアイデアや解決策が出てくる余地がありません。あくまで「自社の課題を解決するために、プロとして最善の策を提案してほしい」という姿勢でいることが、良い提案を引き出すカギになります。
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【そのまま使える】ホームページリニューアル用 RFPサンプル
このステップのチェックリスト
内容 | 例 | |
□ | 目的をRFPに記載した | Webサイトから月20件のリードを獲得する |
□ | 課題をRFPに記載した | デザインが古く、問い合わせに繋がっていない |
□ | ターゲットユーザーをRFPに記載した | 製造業の設計担当者 |
□ | 必要な機能をRFPに記載した | ブログ機能、資料ダウンロード機能 |
□ | 予算をRFPに記載した | 300万円 |
□ | 希望公開時期をRFPに記載した | 来年3月頃 |
アイリーラボからのワンポイント解説
ホームページには、名刺代わりの「会社案内型」、採用に特化した「採用強化型」、そして新規顧客獲得を目指す「顧客獲得型」など、複数の型があります。RFPを準備する際に「自分たちが目指すのはどの型か」を意識するだけで、制作会社との目的共有が円滑になり、提案の精度が向上します。
\\商材に応じた4つのタイプ別にマーケティング戦略を解説//
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ステップ4:各社の提案を比較する
このステップでは、各社から提出された提案書を読み解き、プレゼンテーションや質疑応答を通じて、制作会社の「課題解決能力」と「相性」を見極めます。
担当者がやること
1. 提案の「根拠」と「進め方」を確認する
各社からの提案で最も重要視すべきは、見た目のデザインではなく、「なぜ、その提案が自社の課題を解決できるのか」という納得できる根拠と道筋です。ステップ3で提出したRFPに対し、どのような分析を行い、どのような戦略で課題解決にあたるのか。その具体的な進め方が示されているかを確認しましょう。
課題解決の根拠と道筋
提案された解決策に、明確な根拠があるかを確認します。「なぜ、その施策を行うのか」という問いに、納得のいく説明があるかどうかがポイントです。
- 良い例:「御社の課題である『技術力の高さがWebで伝わらない』点を解決するため、まず製品の使用事例コンテンツを強化します。なぜなら、ターゲットである設計担当者は、具体的な活用シーンを求めているからです。その使用事例の中で、専門用語の解説や技術的な一次情報も盛り込むことで、情報の網羅性を高め、SEO流入も狙います。」
- 悪い例:「最新のトレンドを取り入れたデザインで、ブランディングを強化します。」(なぜそのデザインがブランディング強化に繋がるのか、根拠が不明)
担当者の質問力と姿勢
プレゼンの場で、担当者が自社のビジネスをどれだけ深く理解しようとしているかを見極めます。質問の質が、その会社の姿勢を映し出します。
- 良い例:「現在、引き合いの多い製品は何ですか?その製品は、競合の〇〇と比較して、どのような点が優れているとお客様から評価されていますか?」
- 悪い例:「ご予算はおいくらですか?」「どんなデザインがお好みですか?」(表面的な質問に終始している)
課題解決の実績
単に「こんなサイトを作りました」というデザインの紹介だけでなく、その実績がどのような課題を解決し、どんな成果に繋がったのかを確認します。
- 良い例:「こちらのA社様も、御社と同じく『Webからの問い合わせの質が低い』という課題をお持ちでした。そこで、製品選定のためのシミュレーション機能を導入し、ユーザーが自分に合った製品を見つけやすくした結果、具体的な仕様が決まった状態での問い合わせが50%増加しました。」
- 悪い例:「A社様のサイトです。かっこいいでしょう?」(見た目の話しかしない)
【補足】注意点:「いきなりデザイン案」の提案は危険信号
ここで特に注意したいのが、最初の提案で具体的なデザイン案を提示してくるケースです。これは、上記で述べた「提案の根拠」や「制作の進め方」を省略した危険な近道であり、成果に繋がらない可能性が高い提案です。

例えば、ステップ1で「BtoBのリードを月10件獲得する」という目的を設定したとします。
- 良い提案の例:まずRFPで示したターゲットユーザーを分析し、「専門的な情報を求める技術者向けに、詳しい資料をダウンロードできるコンテンツを充実させる」といった戦略を提示。その上で、「その戦略を実現するために、このようなサイト構造や情報設計が必要です」と、デザインの前段階である「設計」の重要性を説明してくれる。
- 注意したい提案の例:戦略や設計の話を省略し、いきなり「先進的でかっこいいデザインです」と、見た目の良さだけをアピールしてくる。
まだ戦略も固まっていない段階でデザインを提示できること自体が、その制作会社が「成果を出すための戦略を持っていない」ことの証拠とも言えます。成果に繋がる本質的な戦略ほど、Webサイトの表面的なデザインには現れにくいものです。
担当者がWeb制作の専門家でない場合、目に見えるデザインが「なんとなく良く見える」というだけで判断してしまいがちですが、それは大きな落とし穴です。プロの価値は、「目標達成のためにどのような戦略を立て、どう具体的に形にしていくか」という、制作の進め方の提案にこそ表れます。
もちろん、しっかりとした戦略や根拠を示した上で、それを補足する形でデザイン案が提示されるのであれば、それは歓迎すべき提案と言えるでしょう。
このステップのチェックリスト
内容 | 確認ポイントの例 | |
□ | 提案内容が、課題解決と目標達成に繋がるか | 提案された施策が、RFPで伝えた課題をどう解決するのか |
□ | 「なぜこの提案なのか」という納得できる説明があるか | 提案の根拠となる分析データや、具体的な道筋が示されているか |
□ | 担当者の専門性や、コミュニケーションの相性は良いか | 質問は的確か、一緒にプロジェクトを進めたいと思えるか |
□ | いきなりデザイン案だけで判断していないか | 見た目の良さだけでなく、提案の進め方を評価しているか |
□ | 自社と近い業態・ビジネスモデルでの実績や成果があるか | 成功事例だけでなく、どのような背景で成果を出したか |
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アイリーラボからのワンポイント解説
パートナーを選ぶ際は、目先のデザインだけでなく、事業の成功というゴールまで伴走してくれる相手かどうか、という視点を持つことをお勧めします。アイリーラボは、Webサイトを制作だけではありません。これまで300社以上のWebコンサルティングノウハウによる「戦略立案」から、サイトの「制作」、そして公開後の「Web運用」まで、一貫して対応できます。
ステップ5:見積もり比較と費用対効果の判断
このステップでは、各社から提示された見積書を比較検討します。金額の「高い・安い」だけでなく、「何に対しての費用か」を理解し、リニューアルが成果に見合う「投資」となるかを判断することが重要です。
担当者がやること
1. 見積もりの「作業範囲」を確認する
まず、金額の裏側にある「作業範囲」を明確にします。見積もりに「含まれる作業」と「含まれない作業」は何かを必ず確認しましょう。会社によって作業範囲は異なり、この確認を怠ると後で「これも別料金だったのか」というトラブルになりかねません。
よくある確認項目の例
- 写真・動画撮影:サイトに使用する写真や動画の撮影費用は含まれているか。
- 文章作成(ライティング):各ページの文章は誰が作成するのか。
- 打ち合わせ回数:対面やオンラインでの打ち合わせ回数に上限はあるか。
- サーバー・ドメイン費用:公開後のサーバーレンタル代やドメイン維持費は含まれているか。
- 保守・運用費用:公開後の簡単な更新作業や、システムのエラー対応は含まれているか。
格安の見積もりは、これらの作業がほとんど含まれておらず、結果的に追加費用がかさむケースがあります。
2. 各社の提案を比較する
各社の提案を評価するための比較資料を作成します。金額の大小だけでなく、それぞれの会社が提供する価値を客観的に比較することが目的です。以下のような比較表を作成すると、各社の強み・弱みが可視化され、社内での合意形成にも役立ちます。
比較項目 | A社 | B社 |
---|---|---|
見積金額 | 180万円 | 250万円 |
提案内容 | デザイン重視 | 戦略・分析が手厚い |
作業範囲 | 文章作成は別途 | フルサポート |
懸念点 | 戦略面が不安 | 予算オーバー |
総合評価 | △ | 〇 |
このように資料をまとめることで、「A社は安いがサポートが薄い」「B社は高いが戦略が手厚く、最も投資価値が高い」といった判断がしやすくなります。
3. 費用対効果(ROI)を検証する
次に、提示された費用を単なる「コスト」ではなく、事業への「投資」として評価します。そのために、リニューアルによってどれくらいの売上が期待でき、投資額を回収できるのかをシミュレーションしてみましょう。この指標をROI(投資利益率)と呼びます。
ROIの計算シミュレーション例
Webサイトリニューアルのような中長期的な投資では、2〜3年での投資回収を目指すのが一般的です。ここでは、制作費用200万円の提案に対し、2年で投資を回収するシミュレーションを見てみましょう。
- 月間アクセス数:3,000
- 年間アクセス数:3,000 × 12ヶ月 = 36,000
- 問い合わせ率(CVR):1% → 年間問い合わせ数:360件
- 商談化率:80% → 年間商談数:288件
- 受注率:20% → 年間受注数:57.6件
- 平均顧客単価(LTV):55,000円
- 【1年目】
- 年間予測売上 = 57.6件 × 55,000円 = 3,168,000円
- 年間利益 = 3,168,000円(売上) – 2,000,000円(投資額) = 1,168,000円
- 単年ROI = 1,168,000円(利益) ÷ 2,000,000円(投資額) × 100 = 58.4%
- (この時点ではROIが100%に満たないため、投資額を回収できていない)
- 【2年目】
- 2年間の累計売上 = 3,168,000円 × 2年 = 6,336,000円
- 2年間の累計利益 = 6,336,000円(累計売上) – 2,000,000円(投資額) = 4,336,000円
- 2年間の累計ROI = 4,336,000円(累計利益) ÷ 2,000,000円(投資額) × 100 = 216.8%
- (2年目には投資額を回収し、大幅な黒字に転じている)
ROIの評価方法
ROIは利益ベースで計算するため、100%が投資額を回収できる損益分岐点となります。
- ROIが100%を超える場合:投資額を上回る利益が出ている「黒字」状態です。今回の例では、2年目のROIが216.8%となり、200万円の投資に対し、約433万円の利益を生み出したことになります。
- ROIが100%を下回る場合:投資額を利益で回収できていない「赤字」状態を意味します。まずは100%を超えることが絶対条件です。
このシミュレーションはあくまで予測ですが、これを行うことで「なぜこの金額を投資するのか」という根拠を、社内(特に決裁者)に対して具体的に説明できます。
このステップのチェックリスト
内容 | 確認ポイントの例 | |
□ | 見積もりの「含まれる作業」と「含まれない作業」の範囲を確認した | 写真撮影や文章作成は別料金か、保守費用は含まれるか |
□ | 各社の提案価値を比較する資料を作成した | A社は安いがサポートが薄い、B社は高いが戦略が手厚い、など |
□ | 費用対効果(ROI)を計算し、投資価値を説明できるか | 200万円の投資で、年間288万円の売上と44%のROIを見込む、など |
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【失敗しない】ホームページリニューアル実践ガイド
アイリーラボからのワンポイント解説
「顧客獲得を目的としたWebサイト」が「会社案内のみのWebサイト」よりも高価になるのには理由があります。それは、アクセス解析や競合分析、マーケティング設計といった、成果を出すための「戦略フェーズ」に時間をかけるためです。見積もりを見る際は、金額の大小だけでなく、Webサイトの見た目だけではなく、その裏側にある「戦略」や「工数」にどれだけの価値を見出せるかが重要です。
ステップ6:決裁者への説明と承認
このステップでは、これまで集めた客観的な情報をもとに、社内の合意を形成し、決裁者から「納得感のある承認」を得ることを目指します。担当者一人の熱意だけでは、プロジェクトは動きません。
担当者がやること
1. 決裁者への事前共有を行う
最終的な稟議の前に、決裁者に「現在、A社とB社が最終候補に残っており、来週には最終決定したいと考えています」といった状況を共有する時間を設けます。突然の報告で驚かせないための、重要な根回しです。
2. 客観的な事実で承認を促す
決裁者を説得するには、感情論ではなく客観的な事実が必要です。ステップ5で作成した、各社の見積金額や提案内容、サポート範囲などを一覧にした「比較表」を活用し、推薦する会社とその理由を論理的に説明する準備をします。
説明のポイントは以下の通りです。
- 価格だけで判断させない:「A社は安いですが、サポート範囲が狭いというリスクがあります。一方、B社は高価ですが、目的達成のための〇〇という提案が含まれており、投資価値が高いと判断しました。」
- 目的と紐づける:「私たちが目指す『月間20件の問い合わせ獲得』という目的に対し、最も貢献が期待できるのがB社です。」
- 費用対効果を提示する:ステップ5で検証した費用対効果(ROI)を使い、このリニューアルが単なるコストではなく、将来の売上に繋がる「戦略的投資」であることを具体的に説明します。年間予測売上から制作費用を差し引いて利益を算出し、その投資利益率(ROI)を提示することで、客観的な判断を促しましょう。
担当者は、単なる連絡役ではなく、会社の事業成長を導くプロジェクトマネージャーです。その意識が、決裁者の納得感に繋がります。
このステップのチェックリスト
内容 | 確認ポイントの例 | |
□ | 決裁者に進捗状況を事前に共有したか | 「A社とB社が最終候補です」と、稟議の前に伝えた |
□ | 客観的な比較資料をもとに、推薦する会社とその理由を説明できるか | ステップ5で作成した比較表を使い、B社を推薦する理由を整理した |
□ | ステップ5で算出したROIを元に、投資価値を説明できるか | 「この投資で、ROI〇〇%が見込めます」と説明できる |
ステップ7:パートナーを選定し、契約する
社内での承認を得て、いよいよパートナーを正式に決定し、契約を結ぶ最終ステップです。プロジェクトのスタートラインに立つために、最後の詰めを慎重に行いましょう。
担当者がやること
1. 発注の意向を伝え、最終条件を詰める
まず、社内承認を得た会社に、発注の意向を伝えます。その上で、見積もりや提案内容で微調整したい点があれば、この段階で最終的な条件を詰めます。ただし、ここで大幅な変更を要求するのはマナー違反です。あくまで最終確認と微調整の場と心得ましょう。
2. 契約書の内容を確認し、契約を締結する
次に、制作会社から提示される契約書の内容を十分に確認します。契約書は、これまでのやり取り(RFP、提案、見積もり)がすべて反映された、法的な効力を持つ最も重要な書類です。特に以下の項目は、担当者だけでなく、法務部門などにも確認してもらうと安心です。
- 作業範囲:見積書と相違ないか。「含まれる作業」と「含まれない作業」が明確に記載されているか。
- 金額と支払条件:見積金額は正しいか。着手金や残金の支払いタイミングはいつか。
- スケジュール:最終的な公開日は明記されているか。主要な工程のスケジュールも確認しましょう。
- 知的財産権:納品されるWebサイトの著作権は、最終的に自社に帰属するか。
- 検収条件:どのような状態になったら「納品完了」とみなすか。
- 契約解除条項:万が一、プロジェクトを途中で中止する場合の条件はどうか。
すべての内容に合意できたら、契約を締結します。
3. 候補から外れた会社へ連絡する
今回ご縁がなかった会社にも、提案に時間を割いてくれたことへの感謝と共に、誠実にお断りの連絡を入れましょう。丁寧な対応を心がけることで、将来的にまた別の機会で協業する可能性も生まれます。
このステップのチェックリスト
内容 | 確認ポイントの例 | |
□ | 発注する会社に意向を伝え、最終条件を確認した | 電話またはメールで発注の意向を伝え、作業範囲を再確認した |
□ | 契約書の内容(作業範囲、金額、スケジュールなど)を十分に確認した | 法務担当者にも契約書をレビューしてもらった |
□ | 候補から外れた会社にも、感謝と共に誠実に連絡を入れた | A社とB社に、感謝の意を伝えてメールで連絡した |
\\300社以上のBtoB企業を支援してきた実績//
最終決定の前に、一度アイリーラボに相談してみる
アイリーラボからのワンポイント解説
アイリーラボは、お客様の会社案内などをそのままWebサイトに展開するだけのような、受け身の仕事はしません。事業や営業戦略のヒアリング、コンテンツ企画会議などを通じ、お客様と「一緒に作り上げていく」スタイルを大切にしています。決め手として、「この会社は、自分たちと深くディスカッションし、共に汗を流してくれるパートナーか?」という視点を持ってみてください。
まとめ:失敗しないホームページリニューアルの全チェックリスト
ここまで、ホームページリニューアルで失敗しないための7つのステップを解説してきました。契約はゴールではなく、成果を出すためのプロジェクトの本当のスタートラインです。ここまでのステップを一つひとつ丁寧に行うことで、制作会社と良好な信頼関係が築け、その後の制作プロセスが円滑に進みます。
これまでの全ステップのチェックリストを一つにまとめました。プロジェクトの全体像を把握し、進捗管理にご活用ください。
ステップ1:課題と目的、体制を明確にする
内容 | 例 | |
□ | リニューアルの目的(ゴール)と、その背景にある課題を整理した | 目的:月間10件のリード獲得 課題:営業のマンパワー不足 |
□ | 担当者を決め、おおよその予算感を把握した | 担当者:〇〇部 〇〇 予算:100〜300万円 |
□ | Webサイトの「月間アクセス数」と「有効な問い合わせ件数」を確認した | アクセス:月間3,000 問い合わせ:月間1件 |
ステップ2:候補となる制作会社探しと、ヒアリング準備
内容 | 例 | |
□ | 制作会社サイトで実績・専門分野・料金感などを確認し、候補を2〜3社リストアップした | A社(同業界の実績あり) B社(BtoBマーケティングに強み) |
□ | 問い合わせ時に目的や予算感を伝え、初回打ち合わせの日程を調整した | 問い合わせフォームに「リード獲得目的、予算〇〇円」と記載した |
□ | 初回ヒアリングで伝えるべき概要資料を準備した | リニューアルの目的や課題、希望公開時期などを記載した資料を準備した |
ステップ3:提案依頼書(RFP)を準備する
内容 | 例 | |
□ | 目的をRFPに記載した | Webサイトから月20件のリードを獲得する |
□ | 課題をRFPに記載した | デザインが古く、問い合わせに繋がっていない |
□ | ターゲットユーザーをRFPに記載した | 製造業の設計担当者 |
□ | 必要な機能をRFPに記載した | ブログ機能、資料ダウンロード機能 |
□ | 予算をRFPに記載した | 300万円 |
□ | 希望公開時期をRFPに記載した | 来年3月頃 |
ステップ4:各社の提案を比較する
内容 | 確認ポイントの例 | |
□ | 提案内容が、課題解決と目標達成に繋がるか | 提案された施策が、RFPで伝えた課題をどう解決するのか |
□ | 「なぜこの提案なのか」という納得できる説明があるか | 提案の根拠となる分析データや、具体的な道筋が示されているか |
□ | 担当者の専門性や、コミュニケーションの相性は良いか | 質問は的確か、一緒にプロジェクトを進めたいと思えるか |
□ | いきなりデザイン案だけで判断していないか | 見た目の良さだけでなく、提案の進め方を評価しているか |
□ | 自社と近い業態・ビジネスモデルでの実績や成果があるか | 成功事例だけでなく、どのような背景で成果を出したか |
ステップ5:見積もり比較と費用対効果の判断
内容 | 確認ポイントの例 | |
□ | 見積もりの「含まれる作業」と「含まれない作業」の範囲を確認した | 写真撮影や文章作成は別料金か、保守費用は含まれるか |
□ | 各社の提案価値を比較する資料を作成した | A社は安いがサポートが薄い、B社は高いが戦略が手厚い、など |
□ | 費用対効果(ROI)を計算し、投資価値を説明できるか | 200万円の投資で、年間288万円の売上と44%のROIを見込む、など |
ステップ6:決裁者への説明と承認
内容 | 確認ポイントの例 | |
□ | 決裁者に進捗状況を事前に共有したか | 「A社とB社が最終候補です」と、稟議の前に伝えた |
□ | 客観的な比較資料をもとに、推薦する会社とその理由を説明できるか | ステップ5で作成した比較表を使い、B社を推薦する理由を整理した |
□ | ステップ5で算出したROIを元に、投資価値を説明できるか | 「この投資で、ROI〇〇%が見込めます」と説明できる |
ステップ7:パートナーを選定し、契約する
内容 | 確認ポイントの例 | |
□ | 発注する会社に意向を伝え、最終条件を確認した | 電話またはメールで発注の意向を伝え、作業範囲を再確認した |
□ | 契約書の内容(作業範囲、金額、スケジュールなど)を十分に確認した | 法務担当者にも契約書をレビューしてもらった |
□ | 候補から外れた会社にも、感謝と共に誠実に連絡を入れた | A社とB社に、感謝の意を伝えてメールで連絡した |
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