「業績好調だから不要」と言う上司を”納得”させるサイトリニューアル説得の4ステップ

『うちは営業が強いからWebは不要だ』——。サイトリニューアルを提案した際、こんな言葉を上司から聞いたことはありませんか?
業績が好調な状況で、Web投資は後回しにされがちです。しかし、新規顧客開拓や信用力強化といった未来への投資について、上司と“共通理解”を深めることは不可欠です。
本記事では、上司の言葉の裏にある想いを理解し、課題を“共同で解決”へ導くための4つのステップを紹介します。
目次
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製造業BtoB担当者向け!『失敗しない』ホームページリニューアル実践ガイド
ステップ1:なぜ話が噛み合わない?「提案」の前に上司の“本音”を理解する
中長期の視点はあるが、Webへの投資の優先順位が低いワケ
上司の方も、会社の中長期的な成長戦略を描いています。ただし、その戦略の中で「Webサイトへの投資」が重要な要素としてまだ位置づけられていないケースがあります。Webサイトを「未来への戦略的投資」ではなく、「現状維持で十分な広報ツール(コスト)」と認識している場合、他の施策と比べて優先順位が低くなります。この認識の差が、対話が噛み合わない一つの要因です。
「既存営業が好調」という成功体験の壁
現在の業績が良い場合、その成功を支えてきた既存の営業手法を変えることに、人は慎重になります。リニューアルの提案が、これまでの成功体験を否定するものと受け取られると、前向きな対話は難しくなります。
根底にある「自分の経験を尊重してほしい」という想い
長年の経験で会社を支えてきた上司にとって、自身の経験や知見は尊重されるべきものだと考えています。まず相手の経験に敬意を払い、同じ目線で対話することが、信頼関係を築く上で大切になります。
ステップ2:いきなり提案はNG!上司を「相談相手」にする準備
まずは「リニューアルしたい」という自分の想いを一旦封印する
最初に「サイトを新しくしたいです」と自分の要望を伝えてしまうと、相手は「守り」の姿勢に入ってしまいます。「会社のWebサイトの今後について、ご意見を伺いたいです」というように、相手を立てて相談する姿勢で対話を始めます。
「ヒアリング」で上司の考えを引き出す質問リスト
提案の前に、まず上司の考えを聞くための時間を設けます。これにより、上司の経験からリニューアルのヒントを得られます。
- 「部長が長年のご経験で築いてこられた、お客様との信頼関係の秘訣は何ですか。その強みをWebでもっと表現できないかと考えています」
- 「営業の現場で、お客様からよく聞かれる質問や、逆にこちらから伝えきれていないと感じる製品の魅力はありますか」
- 「競合他社のサイトをご覧になることはありますか。当社のサイトと比べて、何かお気づきの点はありますでしょうか」
アイリーラボのワンポイントアドバイス
私たちが300社以上のBtoB企業様をご支援してきた中で、このヒアリング段階で特に注目すべきは、上司の方が語る「失注した案件の理由」や「お客様からのクレーム」です。そこには、既存の営業手法だけではカバーしきれていない、Webサイトで解決すべき本質的な課題が隠れていることが非常に多いです。
ステップ3:「感覚」ではなく「数字」で語る!共通理解を深める客観的データ
ヒアリングで得た上司の考えを裏付けるために、客観的なデータを準備します。これらのデータは、相手を論破するためではなく、同じ課題認識を持つための「共通言語」として活用します。
データ①:現状サイトの「もったいなさ」を可視化する(機会損失データ)
- 例1(アクセス解析): 「製品情報ページ」から「お問い合わせページ」への遷移率が低いことを示し、「製品に興味を持った見込み客が、次の行動に移せずに月に〇〇人も離脱している可能性があります」と伝えます。
- 例2(SEOツール): 「主要な製品名での検索順位が競合より低い」ことを示し、「本来獲得できたはずの月間〇〇件のアクセスを失っています」と説明します。

アイリーラボのワンポイントアドバイス
BtoBの顧客がネットで情報収集を行うのが当たり前の現代、「検索結果に出てこない」のは「市場に存在しない」ことと同義です。SEOの順位が低いというデータは、単にアクセスを失っているだけでなく、そもそも競合と同じ土俵にすら立てていないという危機感を持って上司の方と共有することが、共通理解への第一歩です。
データ②:「今のまま」が内包するリスクを提示する(未来のリスク提示)
- 例1(セキュリティ): 「5年前に構築したサイトは、現在のセキュリティ基準を満たしていない可能性があります。万が一、情報が漏洩した場合、会社の信用問題に発展します」
- 例2(属人化リスク): 「現在の売上は、特定のエース営業の方の活動に支えられています。Webサイトは”24時間働く営業担当”として、属人化しない仕組みで未来の売上を支えることができます」
データ③:リニューアルを「コスト」から「投資」へ転換する(費用対効果シミュレーション)
- 例: 「リニューアル費用は〇〇円です。これにより、問い合わせ率が現状の1%から1.5%に改善すれば、月に2件の新規問い合わせ増加が見込めます。平均受注単価が〇〇円なので、半年で投資回収できる計算です」
アイリーラボのワンポイントアドバイス
最終的な意思決定の場面では、費用対効果を多角的に示すことが鍵です。具体的には、売上向上などの「数値的な効果」と、企業理念の実現や社員の負担軽減といった「事業の成長イメージ」の両面から伝えることが重要です。ご要望に応じて、担当者様が社内で説明しやすくなるための「武器」をご提供することも可能です。ご相談ください。
ステップ4:上司を「プロジェクトリーダー」に巻き込み共同解決へ
提案はヒアリングで得た「上司の言葉」を借りて始める
準備したデータを提示する際は、ヒアリングで上司が話した内容と結びつけます。「先日、部長がおっしゃっていた『お客様は〇〇を重視する』という点を、今のサイトでは伝えきれていないと感じました。データを見てみると…」と切り出すことで、提案が「担当者個人の意見」ではなく、「上司の意見に基づいた改善案」となり、対話しやすくなります。
主語を「私」から「私たち」へ変え、同じ課題を持つチームにする
対話の中で、「私がリニューアルしたい」というスタンスではなく、「”私たち”の会社のWebサイトをどう良くしていくか」という共通の目線を持つことが重要です。
最終判断を委ね、プロジェクトを「チームの成功」に導く
デザイン案の選択や、業者選定の最終判断など、重要な意思決定は上司に委ねます。これにより、上司にプロジェクトへの当事者意識を持ってもらいます。
【実践編】よくある反論と対話のシミュレーション
CASE1:「本当に効果があるのか?費用対効果が読めない」
- NGな切り返し: 「絶対に効果は出ます!」
- 対話のヒント: 「おっしゃる通り、100%の確証はありません。だからこそ、まずはA/Bテストや、最も課題の大きい〇〇のページだけの改修といった、リスクの少ないスモールスタートから始めるのはいかがでしょうか。そこで出た効果を見てから、本格的な投資を判断いただくという進め方です」
CASE2:「今のやり方でうまくいっているのに、なぜ変える必要がある?」
- NGな切り返し: 「今のやり方はもう古いんです」
- 対話のヒント: 「部長が築いてこられた現在の成功があるからこそ、次の手を打つチャンスだと考えています。このリニューアルは、今の成功を否定するのではなく、より盤石にするための”守りの投資”です。3年後、5年後も今の成功を維持するために、今から準備を始めませんか」
CASE3:「リソース(人・時間・手間)がないだろう?」
- NGな切り返し: 「私が全部やりますので大丈夫です」
- 対話のヒント: 「確かに、通常業務に加えて大きな負担になりますよね。そこで、〇〇の部分は外部の専門家(制作会社)の力を借りることを想定しています。私たちの役割は、専門家が正しく動けるように、現場の声を正確に伝えることです。最小限の負担で最大限の効果を出せるよう、進め方は私が責任を持って管理します」
まとめ
業績が好調な今、未来への投資を考える担当者様の視点は、会社の成長に不可欠です。大切なのは、上司を「説得する相手」ではなく、「一番の味方になってもらうべき相手」と捉え、敬意をもって対話することです。
まずは上司の経験や考えに真摯に耳を傾け、その上で客観的なデータを活用しながら、「会社の未来を共に創る」というスタンスでコミュニケーションをとることで、リニューアルへの道は開けるはずです。
もし、社内でのデータ分析や説得力のある資料作成にお困りでしたら、私たちアイリーラボにご相談ください。現状分析からBtoBのWebマーケティング支援調査、投資対効果のシミュレーションまで、専門家の視点でプロジェクトの実現を後押しします。まずはお気軽にお問い合わせください。
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